法人破産にかかる費用とその捻出方法
法人破産を考えている方にとって、法人破産にどのくらいの費用がかかるのかはとても重要なことです。
法人破産にかかる費用を捻出できない場合、当然ながら、法人破産はできません。
ここでは、法人破産にかかる費用(千葉地方裁判所の場合)について解説します。
このコラムの目次
1.法人破産とは
法人破産とは、会社財産を処分・換価し、債権者に平等に配当して、会社を消滅させる手続きです。
破産手続きをとれば、会社は消滅してしまいますが、たとえ債務の全額を返済できなくとも、それ以上の返済を行う必要はなくなりますから、もはや経営に苦しむことはなくなります。
法人破産は以下の流れで進んでいきます。
①弁護士へ破産申立てを依頼→②裁判所への破産手続き開始の申立て→③裁判所による破産手続き開始決定→④裁判所による破産管財人の選任→⑤破産管財人と会社代表者の面談→⑥破産管財人が法人財産を調査のうえ、回収や処分をして換金→⑦債権者集会での事情説明、手続進捗状況の報告→⑧債権者に配当→⑨手続終結と法人の消滅
法人破産の手続きにかかる期間は、法人の規模や資産内容によって異なりますが、多くの場合、およそ半年から1年くらいです。
破産管財人による会社資産の換価が簡単であれば手続きは早く進みますし、換価が容易でない、時間がかかるという場合は終結まで長期間が必要となります。
2.法人破産にかかる費用
破産手続きを利用するためには、裁判所に支払う費用と、破産申立てを弁護士に依頼する場合にはその弁護士費用がかかります。
(1) 裁判所に支払う費用
裁判所に支払う費用の内容は、予納金、収入印紙、郵便切手です。
予納金とは、「裁判所に予め納める金員」という意味であり、これは破産管財人の報酬、破産手続き開始決定を官報で公告する費用等に充てられる金銭です。
予納金は、破産手続き開始決定をするための要件であり、予納金の納付をしないと法人の破産手続きを開始してもらえません。
裁判所に支払う費用は、少額管財(一定の条件を満たした場合に利用できる簡易な破産手続き)と通常管財の場合とで異なります。
少額管財になるか否かは、弁護士代理人がついているか、債権者が多数でないか、債権者との間で争いがないか等を踏まえて判断されるのが通常です。
千葉地方裁判所においては、少額管財の場合は合計で約22万円の費用が掛かります(予納金約21万4,000円、収入印紙1,000円、郵便切手約4,000円、)。
通常管財と少額管財の費用の相違点は、予納金の額です。通常管財事件は、破産管財人の仕事量が多くなることが予想されるために、予納金も高額なのです。
通常管財の予納金の額は負債総額に応じて決まりますが、最低でも70万円の予納金を収める必要があります。
負債総額 |
予納金 |
---|---|
5000万円未満 |
70万円 |
5000万~1億未満 |
100万円 |
1億~5億未満 |
200万円 |
5億~10億未満 |
300万円 |
10億~50億未満 |
400万円 |
50億~100億未満 |
500万円 |
(2) 弁護士費用
法人破産をする場合は、弁護士に依頼をするのが通常です。
弁護士費用は、各弁護士事務所と、法人破産の規模(法人の規模)により異なります。
一般的な内訳は、相談料、着手金、報酬金(破産手続が無事に終了した場合に発生する報酬)、実費(交通費等)です。
当事務所にける弁護士費用の料金体系は以下のようになっております。法人破産に関する相談は何度でも無料で、また、報酬金は頂いていません。
- 休眠会社|資産なし:着手金35~50万円(別途:手数料3万円)
- 営業中|資産あり:着手金50万円~(別途:手数料3万円)
- 大規模企業:応相談(別途:手数料3万円)※法人の規模によって異なります。
※法人破産と同時に代表者等の個人破産もする場合は、別途費用が掛かります。
※遠方対応を要する場合、日当が発生する場合がございます。
※分割払いも可能です。
3.法人破産の費用を払えない場合の対処法
法人破産の申立てには、上述のとおり、申立て代理人となる弁護士の費用と、裁判所へ納める費用が必要です。会社の財務状況が悪化し、これら費用すら支払えなくなると、破産もできないという最悪の状況になってしまいます。
そのため、法人破産を考えている人は、費用を確保する方法を考えなければなりません。
(1) 破産の適切なタイミングを選ぶ
弁護士に相談するタイミングとして、支払期日を守れない、給与の支払いができてない、近年赤字が続き黒字になる見込みがないことなどが挙げられますが、いずれの場合であっても、破産手続きの費用に充てることができる資金があるうちに弁護士に相談することが重要です。
[参考記事]
法人破産に踏み切るのに最適なタイミングとは
(2) 財産を現金化する
資金が全くない場合でも、例えば、売掛金債権を回収したり、在庫商品や車といった資産を売却したりすることにより破産申立てに必要な費用を捻出することが考えられます。
具体的にどのような対策が可能かは、ご相談時にご説明いたします。お一人で悩まず、まずは無料相談をご利用ください。
4.まとめ
以上からわかるよう、法人破産には費用が掛かります。法人破産手続きにかかる費用額全体の金額を正確に見積もり、それをどのように確保、捻出するかが重要です。
そのためには、法人破産手続きに強い弁護士に相談することが何よりも大切です。
早期の相談をすることにより、法人破産ではなく、民事再生手続など、法人を残して再建を図ることができる可能性もあります。
法人破産を考えている人は、泉総合法律事務所千葉支店へ、どうぞお早めにご相談ください。
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2019年10月25日法人破産 法人破産に踏み切るのに最適なタイミングとは