法人破産に踏み切るのに最適なタイミングとは
会社の借金をどうしても払えなくなったら「法人破産」を視野に入れる必要がありますが、ご自分の会社であると、なかなか破産に踏み切れないという方も多いでしょう。
しかし、借金の支払いができずにいたずらに時間だけ過ぎていくと、より多くの不利益を被り、従業員や取引先にかける迷惑も大きくなってしまいます。
法人破産に踏み切るとしたら、どのタイミングでするべきなのでしょうか?
経営者にとって破産は大きな決断となりますが、周りに迷惑をかける前に一区切りをつけるために、ぜひ本記事をご一読いただければと思います。
このコラムの目次
1.法人破産が遅れることのデメリット
法人破産は、時期が遅れるほど様々なデメリットが生じます。
手続が遅れることで発生する損害は次の3つです。
(1) 赤字がどんどん膨らんでいく
法人破産をする前は「支払不能」に陥っているので、その状態が続けば赤字がどんどん膨らむおそれがあります。
1~2ヶ月持ち堪えれば状況が良くなるということが確実なら、一時的な赤字については後で挽回すれば良いのですが、この先も借金払いの目途が立たないのであれば、債権者からの取り立ては激しくなり、精神的にも追い詰められてしまうでしょう。
特に、税金の支払いが遅れた場合は要注意で、そのまま放置しておくといきなり資産を差し押さえられる恐れがあります。
この先黒字に転換できる可能性がないのであれば、結論をむやみに引き延ばすことは得策ではありません。
(2) 従業員や取引先への迷惑が大きくなる
法人破産が遅れると、従業員や取引先にも迷惑がかかります。
借金払いができないほどの状況であれば、この先、従業員への給与の支払いも遅れる可能性がありますし、会社を畳んだところで退職金を支払う余裕もなくなるでしょう。
そうなれば、従業員とその家族は路頭に迷うことになるので、破産をするのであれば従業員への給与・退職金を支払らえるうちにするのがベストです。
また、特に会社に対して債権を持っている取引先にしてみれば、どのみち支払いができないのであれば、そのままの状態よりも破産をしてもらった方がメリットも大きいです。
なぜなら、法人破産で債権が回収できない場合、税務上は貸倒損失で計上ができるので、その方がダメージは少ないのです。
このように、法人破産は周囲に与える影響も大きいので、できるだけ迷惑をかけないタイミングで行う必要があります。
(3) 法人破産のための費用がなくなってしまう
法人破産をするには「予納金」と「弁護士依頼費用」がかかります。
よって、会社の資産が底を尽きてしまってからでは、破産手続すらできなくなってしまいます。
法人破産にかかる予納金の額は次の通りです。
(法人破産は個人の自己破産と違って「同時廃止手続」がなく「管財手続」として扱われます。)
負債額1億未満の場合
予納金…100万円 (※5,000万未満…70万円)
官報広告費…1万4,786円
申立印紙代…1,000円
負債1億円以上の場合
1億~5億未満 200万円
5億~10億未満 300万円
10億~50億未満 400万円
50億~100億未満 500万円
なお、法人でも一定の条件を満たせば「少額管財手続」として扱われ、その際の予納金基準額は次の通りです。
少額管財手続の場合
予納金…20万円
官報広告費…1万4,786円
申立印紙代…1,000円
上記の予納金を見るだけでも、法人破産にはある程度の費用がかかることがお分かり頂けたと思いますが、この他にも弁護士費用が必要となります。
こうした費用が捻出できない場合は、破産手続きすらままならなくなってしまうのです。
2.法人破産に踏み切るタイミング
「会社破産をしたら人生一巻の終わり…」という恐れを抱いている方もいるかもしれませんが、現実はそのようなことはありません。
むしろ、法人破産は再スタートのための手段なので、新たな人生のためにもおそれずに踏み切るべきです。
(1) 一ヶ月の事業資金がある時点
法人破産には費用がかかることは先にも述べた通りで、法人破産の費用が捻出できなければ、会社の後始末をすることができなくなります。
そうならないうちに、手続に踏み切ることで従業員や取引先への影響も最小限に留めることができるでしょう。
そして、できるだけ早い段階で法人破産について弁護士に相談をするのがベストです。
少なくとも一ヶ月の事業資金がある時点で相談をしましょう。
(2) 事業が苦しくなった時点
借金問題は、対処が早いほど解決の選択肢は多くなります。
よって、支払不能になるまで放置せず、事業が苦しくなった時点で弁護士に相談をするのが理想的です。
借金払いができなかったとしても、破産だけが解決策ではありません。「民事再生」をする方法もありますし、同じ倒産でも「特別清算」などの方法もあります。
民事再生なら借金を減額してもらった上で会社を存続させることができます。
また、会社を畳むにしても特別清算で終わらせれば、手続もさほど厳格ではありません。清算したと言えば破産ほどのネガティブな印象がないので、その点も大きなメリットです。
借金の支払が苦しくなり、この先も同じ状況が続くことが予想されたら、出来るだけ早い段階で一度弁護士に相談してみましょう。
3. 法人破産はお早めに弁護士へ相談を
経営者であれば、法人の破産は苦渋の選択であることは間違いありません。
「あともう少し頑張れば状況が良くなるのでは?」「お世話になった人には迷惑をかけられない」……そんな思いで一日、一日結論を先延ばしにしてしまうこともあるでしょう。
しかし、そうしているうちに状況はどんどん悪くなり、破産をするための資金すら底を尽きてしまいます。そうなったら従業員にも取引先にも大きな迷惑をかけることになります。
そうならないために、できるだけ早く弁護士にご相談下さい。泉総合法律事務所の弁護士は法人破産の経験も豊富にございますので、お一人おひとりの状況を丁寧にお伺いした上で、ベストの解決策を提案いたします。
また、資金がなくてお悩みの方もご相談ください。ケースによっては決算書や会社内の換価できる資産を確認して資金を捻出するなど、問題解決のご提案をすることも可能です。
また、弁護士費用については分割払いに対応しており、破産のご相談は無料で行っていますので、どうぞご安心下さい。
法人破産をお考えの方で、千葉市、四街道市、八街市、市原市、総武線・京葉線沿線にお住まい、お勤めの方は、どうぞお気軽に泉総合法律事務所千葉支店にご相談ください。
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2020年2月3日法人破産 法人破産にかかる費用とその捻出方法