債務整理

公務員でも自己破産はできるのか?

借金で苦しいときの解決策の1つが「自己破産」です。
多くの人が自己破産で借金問題を解決していますが、果たして公務員でも自己破産できるのでしょうか?

「公務員が自己破産をすると、その事実が公にバレてしまうのではないか?」
「自己破産をしたら、公務員を辞めさせられるのではないか?」

このような心配をしている人もいるでしょう。

また、公務員を目指している人は「過去に自己破産をしたことがバレたら公務員になれないのではないか?」と、将来に不安を感じるかもしれません。

実際には、このような心配は不要です。
公務員の方でも、何も問題なく自己破産をすることが出来ます。

ここでは、公務員と自己破産の関係について紹介していきます。

1.自己破産と公務員の関係

(1) 自己破産の条件

まず、自己破産の条件(破産+免責の条件)は、以下の通りです。

  • 支払不能の状態であること
  • 免責不許可事由がないこと

自己破産しても借金をゼロにしてもらえない理由のことを「免責不許可事由」といい、これらの事由に該当する場合は、裁判所が裁量で免責を認めない限り、債務の免責を受けられません。
簡単に説明すれば、以下のような行為が、免責不許可事由に該当します。

  • 借金の理由がギャンブルや浪費等
  • 裁判所に提出する書類に嘘があった、または書類を提出しなかった
  • 虚偽の事実を述べる等して裁判所の手続を妨害した、または手続に応じなかった
  • 財産を不当に隠した、または誰かに譲った、不当に安く処分した、あるいは壊して価値を損ねた
  • 自己破産の前に借金をして品物を買ってそれを安く売却した
  • 自己破産の前に高利でお金を借りた
  • 特定の債権者にのみ有利になるように借金を返した
  • 過去7年以内に自己破産、個人再生の給与所得者等再生、ハードシップ免責を受けた。

かなり簡潔に紹介しましたが、破産法の定める免責不許可事由には、どこにも公務員に関する記載がないどころか、職業に関する決まりすらありません

つまり、基本的には、どんな職業の人でも自己破産をして、借金をゼロにしてもらえる可能性があるのです。

(2) 職業制限の影響を受ける一部の公務員

ただし、職業・資格によっては、自己破産をすると、一定期間(破産手続開始決定〜免責許可決定までの数ヶ月間)資格制限を受け、特定の職に就くことが出来なくなります。
これは、破産法ではなく、個別の法律で定めているルールです。

代表的なものは、弁護士や税理士等の士業、警備員、生命保険募集人等です。
他方、一般的な公務員については、法律上、こうした資格制限が設けられていないので、大多数の公務員の方は、資格制限を気にすることなく、自己破産をすることが出来ます。

ただし、例外として、一部の特殊な公務員については、自己破産をしたら失職する旨の決まりがあります(逆に、一般的な公務員については、破産は欠格事由とされていないので、破産を理由として懲戒や免職になることもありません)。

例えば以下のような公務員です。

  • 公正取引委員(公正取引委員会)
  • 人事官(人事院)
  • 国家公安委員(国家公安委員会)

(3) 破産後に公務員になれるか

では、過去に自己破産をしたことがある人は、公務員になれるのでしょうか。

法律上、公務員になれないのは(欠格事由に当たるのは)、以下のいずれかに該当する人です。

  • 過去2年以内に懲戒免職処分を受けた人
  • 禁固刑以上の刑を受けた人で、執行の終了を迎えていない人
  • 成年被後見人や被保佐人
  • 人事院の人事官または事務総長の職にあって、一定の罪を犯して刑に処された人
  • 日本国憲法施行の日以後、政府を暴力で破壊することを主張する団体を結成するかそれに加入した人

この中に、自己破産した人は含まれていないので、過去に自己破産をしていても公務員にはなることはできますし、公務員が自己破産をすることも可能です。

2.自己破産をすると職場にバレる?

ここまでで、公務員が自己破産することに問題はないことがお分かりいただけたと思います。
しかし、そもそも職場にバレるかどうかを気にする方もいらっしゃるでしょう。

実際問題として、自己破産が職場にバレることはあるのでしょうか?

(1) 官報には掲載される

自己破産をすると、「官報」にその事実が掲載されます。
ただ、一般人で官報を読む人はほとんどいないので、官報から自己破産がバレることは、実際にはほぼありません。

官報を作っている人や、官報をチェックする職業の人にはバレてしまうかもしれませんが、その人から勤務先に情報が伝わることを過剰に心配する必要はないでしょう。

(2) 裁判所からの連絡はない

自己破産をすると裁判所から破産申立人に連絡が届きますが、基本的に郵便物は自宅か弁護士のところに届きます。

(次に述べるようなケースでない限り)裁判所からの連絡が職場に来ることはないので安心して下さい。

(3) 職場からの借金があればバレる

公務員は、共済組合等を利用して、職場からお金を借りることができます。
つまり、この場合は、職場が債権者になるのです。

自己破産をすると、裁判所から各債権者に連絡が行くので、職場から借金をしている場合は、確実に自己破産の事実がバレてしまいます。

裁判所に「職場には連絡しないでください」と頼んでも応じてもらえません。

しかし、もし自己破産がバレたとしても、それが理由で公務員を辞めさせられることはありません
前述のとおり、一部の公務員を除いて、破産は欠格事由とはされていないので、自己破産を理由と下解雇は不当解雇となることから、裁判所に解雇取り消しを求めることができます。

万が一、自己破産を理由として会社から不当な扱いを受けた場合は、真っ先に弁護士に相談しましょう。

3.公務員の問題は退職金

公務員でも自己破産を行う以上、一般人と同じデメリットを負います。
自己破産をする際には、一定以上の財産は処分してお金に換え、債権者への弁済に充てる必要があります。

このとき、公務員特有の問題となるのが、退職金です。

自己破産では、退職金の見込額の8分の1〜4分の1が処分の対象となりますが、公務員は、一般人に比べて退職金が手厚い傾向があるため、これが多額となってしまう可能性が高いことを覚えておきましょう。

例えば、退職金の見込額が1000万円だとした場合は、その8分の1でも125万円に上りますので、現実に退職することや、管財人の職場への接触(退職金の一部前払い請求)を避けたいならば、これに相当する金額を、自由財産の中から破産財団へ積み立てなければなりません。

しかし、この積立が終わらない限り、債権者への配当がされて破産手続が終了することはなく、かつ、免責手続の終了はその後のことになるので、破産申立から全ての手続が終結するまでに1年前後(あるいはそれ以上)の時間がかかってしまう、という事態もあり得ます。

4.自己破産以外の解決方法

公務員という仕事に影響はないとはいえ、他の様々な理由でどうしても自己破産をしたくないという場合は、別の方法を考えなければなりません。
ここでは、最後に2つの債務整理方法を紹介します。

(1) 任意整理

任意整理は、債権者と個別に交渉して将来の利息等をカットしてもらい、毎月少しずつ返済していく債務整理方法です。
裁判所を通さないことや官報に載らないことが、自己破産・個人再生との大きな違いです。

また、任意整理では、破産や個人再生と異なり、債権者を選んで交渉できるので、債務整理する借金とそうでない借金(従来通りに払っていく借金)を選ぶことも可能です。
つまり、共済組合等を避けて借金を整理できるので、仮に共済組合等を利用していたとしても、そこを整理の対象に入れない限り、その他の借金の存在や債務整理の事実が職場にバレることはありません。

借金の減額効果は薄いですが、日本で最も多く行われている債務整理の方法です。

(2) 個人再生

こちらは裁判所を通して行う債務整理方法で、(あくまでケースによりますが)借金を約5分の1程度に減額し、減額後の借金を分割で返済していきます。

自己破産と違って、基本的に財産を処分しなくて済みますので、例えば、退職金見込額の8分の1が高額になってしまうケースでも、破産のように手続の中でその全額を債権者へ配当することは求められておらず、あくまで再生計画に基づき債権者に分割返済することになる返済総額の計算に用いられるものです。

また、「住宅ローン特則」という制度を利用すれば、住宅ローン付きのマイホームを、住宅ローンを従前どおりに支払いながら、手元に残すことが出来ます。

任意整理よりも借金の減額効果は高いですが、手続が複雑なのが難点かもしれません。

なお、個人再生も裁判所を通じて全ての債権者を対象に行なう手続なので、官報に氏名や住所が掲載されることや、共済組合等にも裁判所から連絡が行くことは自己破産と同様です。

5.公務員でも自己破産は可能!まずは弁護士に相談を

このように、公務員でも問題なく自己破産ができますし、自己破産をした後に公務員になることも問題ありません。

しかし、公務員は退職金が手厚いことが多いので、それに伴うデメリットがあります。また、他にも個別のケースに特有の事情がある可能性があります。

そういった不安も、事前に弁護士に相談しておけば、様々な事情を考慮した上で個々に最適な債務整理方法をアドバイスしてくれるので安心です。

借金の悩みは、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
千葉市、四街道市、八街市、市原市、総武線・京葉線沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所千葉支店にぜひ一度ご相談ください。

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