過払い請求はお早めに弁護士へ相談を
過去に消費者金融から借金をしていて、長年高い金利を支払い続けてきた人は、お金が戻ってくる可能性があります。
「過払い金返還請求」という言葉を耳にしたことのある方も多いと思いますが、随分昔(目安としておおよそ10年以上前)に消費者金融から借り入れをしている方は、業者に請求手続きを行うことで「過払い金」が戻ってくるかもしれないのです。
でば、この「過払い金返還請求(過払い請求)」とはどのようなものなのでしょうか?
また、過払い金が戻ってくるのはどのようなケースなのでしょうか?
このコラムの目次
1.過払い金請求とは?
貸金業者からお金を借りるときは、必ず「利息」がつきます。
利息に関する法律は「利息制限法」と「出資法」の2つがあり、2010年の貸金業法改正以前は、それぞれの上限利息が異なっていました。
利息制限法の上限は年利15~20%であったのに対し、法律改正まで出資法の年利の上限は29.2%という設定です。
この2つの法律の上限利息の違いにあたる年利20%~29.2%の部分を「グレーゾーン金利」と言います。
法律改正以前も、出資法の上限利息である29.2%を超える場合は、刑事罰の対象となるなど厳しい規制はありました。
しかし、年利20~29.2%までの金利については特に罰則はなく、大半の消費者金融は20%を超える利息で貸し付けを行っていたのです。
グレーゾーン金利問題が発生した理由は、貸金業法の「みなし弁済」にあります。
法律改正以前は、利息制限法の上限金利を超える場合も、債務者が任意に利息を支払う場合は一応合法とみなされていました。
しかし、2006年に最高裁の判決で、グレーゾーン金利は任意性を満たさないという判決がでたのです。
これにより、利息制限法を超える部分の利息支払いについては無効と見なされ、過去に支払った分についても遡って請求できることになりました。
過払い金請求とは、このことを指しています。
2010年には利息制限法、貸金業法、出資法の全てが改正となり、貸金業法のみなし弁済は廃止され、利息制限法違反には行政処分が科され、出資法の上限金利は20%にまで引き下げられました。
よって、2010年の法律改正以後はグレーゾーン金利による貸し付けは行われていません。
しかし、2010年より以前に消費者金融から借り入れをしている場合は、過払い金請求の対象となる可能性は高いです。
(なお、2007年にはほとんどの貸金業者が、金利を利息制限法の範囲内に引き下げました。)
過払い金請求は、最後の弁済から10年を経過すると時効を迎えます。時効が成立すると以後は請求をできなくなります。
テレビCMなどで盛んに過払い金請求の呼びかけが行われているのも、2010年の法律改正から2020年で10年を迎えることにより、過去にグレーゾーン金利を支払っていて既に完済している多くのケースで時効が成立してしまうからです。
しかし、現在でも、時効を迎えていない案件はあります。消滅時効は最終弁済日から10年ですので、どれだけ昔の借金であっても完済後10年を経過していない場合、また今現在も支払いを続けている場合は時効適用対象外です。
しかし、完済をしている場合は時効が迫っているケースが多いので、一刻も早く専門家に相談をして、該当する場合は速やかに適切な手続きに踏み切るようにしましょう。
2.過払い金の請求方法・流れ
過払い金請求をするのは、払いすぎたお金を戻してもらう正当な手続きであり、該当するのに手続きを行わないのは損な話です。
今現在も支払いをしている場合は、過払い金請求により借金を完済できる可能性もあります。
ここからは、過払い金請求の方法について詳しく解説します。
(1) 開示請求
過払い金請求をするには、最初に過去の取引履歴を取得する必要があります。
取引履歴は業者に電話をすれば開示してもらえることがほとんどですので、自分で取り寄せをすることも可能です(情報開示に際しては簡単な本人確認があるでしょう)。
一部の貸金業者は、この開示請求の段階で過払い金があると和解交渉を持ちかけてくることがあるようです。
内容は、債務者にとって不利な内容となることも多いので、この段階で相手の提案には乗らず、開示請求を見てから考えたいと言って断るようにしましょう。
(2) 引き直し計算
過去の取引履歴を開示してもらったら「引き直し計算」を行います。引き直し計算とは利息制限法を超えた分の支払額の算出で、過払い金請求では非常に重要なステップとなります。
引き直し計算は慣れた人であればそれほど難しくありませんが、これまで一度もやったことがない場合は、正確な計算をするのはそれほど簡単ではありません。
現在は専用の引き直し計算ソフトなども配布されていますが、正確な数値を算出するには弁護士などに相談をすることをおすすめします。
(3) 請求
引き直し計算により元利金がマイナスとなり、過払い金があることが判明した場合は、貸金業者に対して過払い金の返還請求を行います。
貸金業者と交渉の末に合意ができれば、過払い金の返金が行われます。
一概には言えませんが、過払い金請求の交渉にはおよそ1~3ヶ月ほど要するでしょう。
過払い金請求では、借金の返済ができなくなり任意整理に踏み切ったときに、該当者であることが判明するケースが多いです。
というのも、任意整理を行うときは、過払い金請求同様に取引履歴を取り寄せ、利息制限法に基づいて利息の引き直し計算を行います。その結果、過払い金があることが判明することが多いのです。
3.過払い金を弁護士に依頼するメリット
過払い金請求は自力でも可能ですが、交渉を有利に進めるためには弁護士に依頼をするのがベストです。
最後に、その理由を説明します。
(1) 債務者の直接交渉では取り合ってもらえない
貸金業者に対して債務者本人が過払い金請求をした場合、そもそも相手にされない可能性があります。
業者は全国から来る過払い金請求の対応をしており、対処方法も心得ています。
要件がそろっている場合でも、法的な知識がない債務者だと相手にされないで終わるおそれがあります。
その点、弁護士が介入すれば順調に交渉は進みます。
相手も、弁護士が出てきたら道理に合わないことを言ってくることはありません。
(2) 計算にミスが起こらない
弁護士に依頼をすれば、利息の引き直し計算を正確にしてもらえるので、計算ミスが起こることはありません。
自力で計算をすると、ミスが発生する可能性があります。計算結果が正しいかどうか確かめるのも難しいでしょう。
計算が合っているのか間違っているのかも分からずに交渉をするのは無謀ですし、精神衛生上もよくありません。
安心して手続きを進めるためにも、弁護士を頼ることをおすすめします。
(3) 確実に過払い金の有無を確認できる
弁護士に依頼をすれば、過払い金請求の手続きを心得ているので、過払い金の有無を確実に確認してもらうことができます。
また、弁護士は過払い金請求を行う際のリスクも心得ています。過払い金請求はイチかバチかで行うのは大変危険で、やみくもに実行するのはおすすめできません。
なぜなら、過払い金が残債を上回るなら信用情報機関に登録をされることはありませんが、過払い金が残債を1円でも下回った場合は、信用情報機関に事故情報が登録されることになります。
いわゆるブラックリスト入りとなるのです。
よって、過払い金請求の手続きをするならば、確実に過払い金が残債を上回ることが確認出来てからが良いでしょう。
弁護士に依頼をすれば、その辺りまで含めて的確なアドバイスをもらうことができます。
4.過払い金請求はお早めに弁護士へ相談を
現在、過払い金請求は多くのケースで時効を迎えていますが、中にはまだ時効を迎えていないケースもあります。
過去に高い金利を払い続けて苦しい思いをしてきた人は、払い過ぎた分のお金を返してもらえるかもしれませんので、諦めずに過払い金請求をしてみましょう。
実際に請求できるかどうかは、借り入れ時期、最終弁済日など、様々な条件によって変わってきますが、身に覚えがある場合は、一度弁護士に相談をすることをおすすめします。
泉総合法律事務所は、過払い金請求についても経験が豊富にございます。千葉市およびその近郊にお住いの方は、ぜひ泉総合法律事務所千葉支店にお気軽にご相談ください。
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