個人再生をするとその後にローンは組めるのか?
個人再生をすると、借金を大幅に減額することができます。
5分の1から10分の1に減額した借金を毎月少しずつ(原則3年間で)返済すれば良くなるので、生活は一気に楽になります。
このように、一見良いことばかりの個人再生ですが、残念ながらデメリットもあります。
その1つが「ローンを組めなくなる」ことです。
個人再生をした後で、将来マイホームやマイカーを購入したいと考えている方は、人生計画が狂ってしまうと考えるかもしれません。
ここでは、「個人再生をするとなぜローンが組めなくなるのか?」「解決方法はあるのか?」の主に2点について紹介していきます。
個人再生を目下検討中の人はもちろん、既に個人再生の再生計画認可を受けて返済中の人も、ぜひお読みください。
1.個人再生とローンの関係
(1) 個人再生でローンが組めなくなる仕組み
個人再生だけでなく、自己破産や任意整理等の債務整理をすると、債権者である銀行、貸金業者、クレジットカード会社等は、その事実を「信用情報機関」という組織に連絡します。
連絡を受けた信用情報機関は、その情報を登録して保存します。
銀行等でローンを組むときやクレジットカードを作るときには「審査」がありますが、この審査のときには信用情報機関へ情報の照会が行われます。
もしそこで過去に債務整理を行ったという情報が見つかった場合、審査する側は「この人は過去に債務整理をしているので返済能力に問題がありそうだ」「この人にお金を貸したら返ってこないかもしれない」と判断します。
この結果ローンの審査に落ちてしまい、ローンを組むことができなくなってしまうのです。
お金を貸す側としては、債権を回収できないかもしれない相手にお金を貸すリスクは負えないため、ある意味当然の措置といえるでしょう。
このように「信用情報機関に債務整理をした情報があるためお金を貸してもらえない状態」のことを、俗に「ブラックリストに載っている」「ブラックリスト入りした」等と表現します。
(2) 信用情報機関の種類
ここまで「信用情報機関」とひと括りにしてきましたが、実際には3つの信用情報機関があります。
- CIC:クレジットカード会社や信販会社等が加盟
- JICC(日本信用情報機構):消費者金融等が加盟
- 全国銀行個人信用情報センター:銀行等が加盟
例えば、銀行でローンを組みたい場合は、申込みを受けた銀行が「全国銀行個人信用情報センター」に問い合わせを行います。
また、クレジットカードを作るための審査のときは、クレジットカード会社がCICに情報の照会を行います。
それぞれ加盟している組織が違うため、クレジットカードで作った債務のみを債務整理した後で銀行にローンの申込みを行った場合、審査に通る可能性もゼロではありません。
しかし、そもそも複数の信用情報機関に加盟している貸金業者等も多いですし、各信用情報機関同士でも情報の相互共有を行っています。
そのため、基本的に「債務整理をするとローンを組むことはかなり難しくなる」と考えておきましょう。
なお、自分の情報が登録されているかどうかは、各信用情報機関に「開示請求」という手続を行うことで教えてもらうことが可能です。
開示請求に関する詳しいことは各信用情報機関のホームページに記載されているので、そちらをご参照ください。
2.ローンはいつから組めるようになるか
信用情報機関の情報は、一定期間が経過すると抹消されます。
「登録されている情報は間違いなので修正または抹消して欲しい」という本人からも申請によっても抹消が行われますが、債務整理の情報は基本的に一定期間の経過によってしか抹消されません。
個人再生の場合、登録期間は基本的に5~10年とされています。
信用情報機関 |
掲載期間 |
JICC |
5年 |
CIC |
5年 |
KSC |
10年 |
稀に信用情報機関の手違いで上記の期間が経過した後も情報が残ったままになることがありますが、その場合は申請することで抹消してもらうことが可能なようです。
実は、信用情報機関の中に自分の情報がなくなっても、同じ銀行や同じ業者にローンや借金を申し込むと審査に落ちる可能性が高いです。
銀行や貸金業者等は、組織内に「かつてお金を貸したけど返してくれなかった人」等の情報を保存していることがあります。ローン等の審査ではこういった情報も参照されるため、信用情報機関の情報に関わらず審査落ちすることが考えられます。
これは俗に「社内ブラック」等と言われており、これを回避するには借りる相手を変えるしかありません。
しかし仮に別の業者にローンを申し込んだとしても、過去にお金を借りた業者の関連会社等であれば、やはり社内ブラックに引っかかる可能性があります。
個人再生後にお金を借りる場合は、過去に借金をした業者とはできるだけ関係のないところを選ぶと良いでしょう。
3.個人再生の疑問は弁護士にご相談ください
このように、個人再生をすると5~10年はローンを組めなくなりますし、クレジットカードを作ることもできなくなります。
しかし、個人再生はローン支払中の持ち家を住宅ローン特則で手元に残したまま借金を大幅に減額することができる可能性がある、非常に有効な債務整理方法です。
今現在借金でお悩みの方は、個人再生のメリットとデメリットを正しく理解した上で、出来るだけ早く手続きに踏み切ることをお勧めします。
個人再生をする前には、ぜひ弁護士にご相談ください。正しい情報をしっかりと把握してから手続きの実行に移せば、個人再生に成功する確率も高くなります。
借金問題でお悩みの方は、相談無料の泉総合法律事務所へぜひ一度ご相談ください。
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