債務整理

自己破産をすると家族はどうなる?

景気の悪化や勤務先の休業で、収入を絶たれる人が増えています。
生活の維持だけでも大変な中で、多額の借金を抱えていたら困り果てることでしょう。

借金が返せないと絶望的な気分になりますが、仮に返せなかったとしても日本には合法的に借金整理する制度があるので、決して悲観する必要はありません。

借金の整理方法はいくつかありますが、最も良く知られているのは「自己破産」です。
しかし、いくら借金を整理すれば良いと言われても、自己破産と聞くと動揺してしまう方もいるでしょう。

特に自己破産は「怖い」イメージがあるようで、噂に振り回されやすく不安だけが大きくなりがちです。
また「自分だけならまだしも、家族に影響がでたらどうしよう?」と思っている方は多いと思います。

果たして、自己破産とはどんな制度で、手続きをすると家族はどうなるのでしょうか?

1.自己破産とは?

借金をどうしても返せないときは、債務整理により借金を合法的に減額・免除してもらえます。
自己破産は債務整理の一種で、他に任意整理、個人再生といった制度もあります。

自己破産は債務整理の中でも最もよく知られており、3つの制度の中でも、免除という効果が得られるので、一番減額率が大きい制度です。
しかし、それなりにデメリットもあるので、ハイリスク・ハイリターンという特徴があります。

しかし、ハイリスクと言ってもやみくもに恐れる必要はありません。自己破産をするときは、まず冷静にメリットとデメリットを押さえることが大切です。

(1) 自己破産のメリット

借金が全額免除になる

自己破産をすると、税金や養育費等の法律に定められた一部の債務を除き、借金は全額免除されます。

債務整理の中でも借金全額免除になるのは自己破産だけです。
自己破産以外の任意整理、個人再生はあくまでも借金の減額に留まるので、そもそも支払いが継続して行える状態でなければ選ぶことはできませんし、全額免責を目指すなら自己破産一択です。

自己破産は裁判所を通した厳格な手続きですが、裁判所に申し立てを行い、免責許可を受ければその後は返済の必要はありません。

しかし、自己破産は希望すれば誰でもできるわけではありません。自己破産できるのは「支払不能」の状態にあり、かつ「免責不許可事由」がないことが条件です。

支払不能は自分が払えないと主張するだけではダメで、裁判所が債務者の労務、資産、信用などを総合的に判断して、支払不能と判断すれば破産手続の開始が認められます。

破産手続きが開始しても、それだけで借金が免除となるわけではありません。免責という手続きが必要です。その際に考慮される「免責不許可事由」は借金を0にすることが認められないとされる複数の事項です。

免責不許可事由に抵触をしていても、1回目の自己破産であれば、裁判所の判断で裁量免責を受けられる可能性があります。

しかし、資産隠しなど、あまりにも悪質と判断されると、免責を受けられない可能性もあるので、自己破産を検討し始めた段階で専門家に相談しましょう。

(2) 自己破産のデメリット

財産を処分される

自己破産をすると借金は全額免除されますが、資産価値のある財産は処分対象となります。

具体的には資産価値20万円以上の財産で、一般家庭で言えば家や車などが該当するでしょう。もっとも、大部分の家財などは該当しないことが多いでしょう。

また、解約返戻金が20万円以上の生命保険などは解約しなければなりません。

官報に載る

自己破産をすると官報に住所、氏名が掲載されます。

官報は誰でも閲覧できるので、そこから自己破産情報が漏れる可能性は否定できません。

しかし、官報を日常的に閲覧する人は限られるので、現実的には官報情報から知人などに自己破産がバレることはほとんどないでしょう。

ブラックリストに載る

自己破産をすると一定期間はブラックリストに事故情報が載ります。

自己破産の場合、5~10年はブラック入りするので、その間は新たに借り入れはできません。またクレジットカードを作ることもできません。

整理対象になっていないカードについても、更新時には信用情報に照会が行われるので、その時点で使えなくなります。ブラックリストとは何か、ということについては、以下のURLをご覧ください。

[参考記事]

自己破産をするとクレジットカードが使えなくなるのは本当?

一部職業制限あり

自己破産をすると、一部職業については一定期間仕事に従事できません。主に他人のお金を扱う仕事・資格が対象で、弁護士、会計士、司法書士など一部士業、保険外交員、警備員を始めとする複数の職業が該当します。

また、保険業や警備業等の業種の勤務先に勤務している場合には、勤務先会社は官報を確認しているので、たとえ一般事務であっても、勤務先に把握されてしまうリスクが高いです。

職業制限を受ける期間は、自己破産手続開始決定から免責許可確定までの3~6ヶ月間です。その間は休職をするか異動をさせてもらう必要があります。

[参考記事]

自己破産できない職業はある?

2.自己破産の家族への影響

以上、自己破産に関するデメリットを見る限り、あくまで本人に関することばかりですので、一見家族に与える影響はなさそうです。しかし、本当に家族には何の影響もないのでしょうか?

ここからは、自己破産の家族への影響について検証していきます。

(1) 家や車が処分される場合

自己破産をすると資産価値20万円以上の財産は処分対象となるので、家や車が対象となるという話は既にしました。

処分対象となるのはあくまでも債務者本人名義の財産のみですが、車や家が処分されれば家庭生活に大きな影響を与える可能性はあります。

地域によっては車がなくなれば生活できなくなりますし、マイホームが処分されればそれこそ一大事です。家庭生活に大きな影響を与えることは間違いありません。

自己破産をする人で多額の現金を持っている人はそうそういないので、現金の処分についてはさほど心配する必要はないのですが、家や車は所持している確率は高いので、財産を持っている人で家族への影響を抑えたい方は自己破産について慎重な検討が必要です。

逆に言えば、家や車がなければ財産処分について過度に恐れる必要はありません。例えば賃貸住まいで車も所有していないということなら、自己破産をしても持っていかれるものはほとんどありません。

その場合、家族に与える影響は限定的で、以前とほぼ変わらない生活を営めるでしょう。

(2) 家族名義の財産には影響なし

自己破産をしても家族名義の財産には一切影響はありません。例えば、マイホームも配偶者の名義であれば処分対象にはなりません。

しかし、財産処分されたくないからと慌てて名義変更をするのは絶対にNGです。

財産処分を免れるための名義変更は、免責不許可事由に該当する恐れがあり、悪質と判断されれば自己破産は認められなくなります。さらに、否認権行使といって、管財人から名義変更をした財産を強制的に取り戻される事もあり得ますので、結局手続きにとって極めてマイナスになるだけでなく、家族にも多大な迷惑をかけることになります。

「うっかり」や「知らなかった」では済まされないので、自己破産やむなしの状況になったら、できるだけ早く専門家に相談をしましょう。

(3) ブラックリスト登録は債務者本人のみ

自己破産をするとブラックリストに載りますが、登録はあくまでも本人だけです。家族の情報は一切載らないのでその点は安心です。

ブラック期間中は新たな借り入れはできませんが、家族名義であれば借り入れはできます。

また、クレジットカードも家族名義のものは問題なく使えるので、信用情報に関して家族に迷惑をかけることはありません。

(4) 家族が保証人の場合は請求がいく

自己破産をした場合、基本的には家族が直接影響を受けることはありません。しかし、家族が保証人になっている場合は、支払い停止後、家族に直接請求がいきます。

もし返済不可能なほど金額が大きいのであれば、家族も一緒に自己破産をするのが現実的です。その場合も拙速に判断せず、速やかに弁護士に相談をしてください。

【破産が直接の離婚原因にはならない】
ちなみに、自己破産をしてもそれが直接的な離婚原因とはなりません。「財産がなくなった人と一緒にいたくない…」と思われることはあるかもしれませんが、離婚するしないは配偶者の一存で決められることではなく、破産者が拒んだ場合は調停や裁判で決着をつけなければなりません。そこで離婚が認められるには「法定離婚事由」が必要で、自己破産はこの法定離婚事由に含まれていません。
よって自己破産が理由で離婚させられることはないのです。

3.自己破産は独断で行わず弁護士へ相談を

自己破産による家族への影響について解説をしました。

資産価値のある財産を持っている場合、自己破産をすると処分されるので、破産者本人名義の家や車を持っている人については家庭生活への影響はあるでしょう。また、家族が保証人になっている場合、その家族に請求がいきます。

どうしてもマイホームを維持したい場合は自己破産以外の方法も選択肢に入ります。また、家族が保証人になっている場合は、対処方法を慎重に検討しなければなりません。

泉総合法律事務所千葉支店では、自己破産の解決事例が豊富にございます。お客様の事情を丁寧に伺いつつ、お一人おひとりに寄り添いながらベストの解決方法をご提案します。

借金問題は早く取り組むほど解決の選択肢は増えるので、お困りのことがあれば一刻も早くご相談下さい。

当事務所では、自己破産のご相談は無料です。また弁護士費用の分割払いにも対応していますので、費用の心配をすることなく、どうかお気軽にお問い合わせください。

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